バルセロナでガウディ建築巡り
そもそも
バルセロナ滞在記2022のスピンオフ。
バルセロナに点在するガウディが設計を手がけた建築の数々を巡ってみた。
アントニ・ガウディ(1852-1926)は、19世紀から20世紀にかけてのモデルニスモ期のバルセロナを拠点に活動したカタルーニャ出身の建築家。ガウディが20代後半で出会った実業家エウゼビ・グエイ(グエル)は生涯にわたってパトロンとしてガウディを支援し続けた。
カサ・ミラ、カサ・バトリョ、グエル邸、サグラダ・ファミリア(の一部)、カサ・ビセンス、グエル公園は「アントニ・ガウディの作品群」として世界遺産に登録されている。
カサ・ミラ
ガウディが54歳頃に設計を手がけた実業家ペレ・ミラの邸宅。

カサ・バトリョ
1877年に建てられた建物を繊維業者ジュゼップ・バッリョ・イ・カザノバスが買取り邸宅とし、その増改築をガウディが52歳頃に手がけた。

グエル邸
ガウディが34歳頃に設計を手がけたパトロンのグエル氏の邸宅。
入口上部。

馬車用の厩舎(地下)。

玄関ホール(1階)。

中二階(2階)。書斎があった。

メインフロア(3階)。応接室。

中央サロン。吹き抜けになっており、最も豪華な装飾が施されている。

寝室階(4階)。和室っぽい部屋も。

屋上。数々のユニークな煙突が並ぶ。

カサ・カルベット
ガウディが46歳頃に設計を手がけた繊維業者ペレ・マルティル・カルベットの事務所兼邸宅。

サグラダ・ファミリア
ガウディが31歳頃から生涯にわたって設計を手がけた贖罪教会。ガウディの死後スペイン内戦によってガウディが残した設計図や弟子たちが作成した資料のほとんどが失われた。そのためサグラダ・ファミリアの建設は、職人による口伝えやわずかに残された資料などをもとに、その時代の建築家がガウディの思想や設計を推測する形で進められている。聖堂正面に位置する「栄光のファサード」や聖堂中心にそびえる「イエスの塔」などが未完成となっている。日本人彫刻家の外尾悦郎氏が40年以上サグラダ・ファミリアの彫刻に携わっており、2013年からは主任彫刻家を務めている。外尾氏が追究したガウディの思想については著書『ガウディの伝言』に詳しい。

生誕のファサード
イエスの生誕から青年期までの物語が表現されている。ガウディが生前に指揮をとって建設し最初に完成した部分。

写真中央の彫刻は「聖母マリアの戴冠」。その下にある彫刻は「受胎告知」。

中央扉上部の彫刻は「イエスの生誕」。15体の天使像を横尾氏が担当した。

中央と左右の入り口にある「生誕の門扉」。横尾氏が担当した。

受難のファサード
最後の晩餐からイエスの昇天までの物語が表現されている。ガウディの没後に建設された部分。

白い十字架の右上にひっそり佇むイエス像は「イエスの昇天」を表す。

中央上部の彫刻は「イエスの磔刑」。その下にある彫刻は「聖ベロニカと福音史家」。

左が「ペドロと兵士」、右が「ユダの接吻」。ユダの隣にある魔法陣の合計は33(イエスが昇天した年齢)になる。

悩むピラトを表現した彫刻は「エッケ・ホモ(この人を見よ)」。

中央の入口を飾る門扉は「福音の扉」。イエスの生涯最後の二日間にまつわる福音書の物語が抜粋され彫られている。

右側の入口を飾る門扉は「茨の冠の扉」。

まるで生命体の脚のように外側に向かって伸びる柱。

聖堂内部
ヤシの木や月桂樹の木をモチーフにした有機的な柱が林立する森のような聖堂内部。当時のバルセロナの紋章にはヤシと月桂樹の葉が使用されていたが何か関係あるのか。

イエスの磔刑像を備えた大きな天蓋が浮かぶ主祭壇。柱の上部には4人の福音史家マタイ(天使)、ルカ(雄牛)、マルコ(獅子)、ヨハネ(鷲)を表すテトラモルフォ。

初代建築主任ビリャールと2代目建築主任ガウディの遺体が眠る地下礼拝堂。

東側のステンドグラスは暖色系の色。

西側のステンドグラスは寒色系の色。

無数に枝分かれした柱が集まる複雑怪奇な天井。

地下博物館
ガウディが設計に使っていた逆さ吊り模型の再現。ガウディは細密な設計図よりも模型を重要視したとされる。

感想
サグラダ・ファミリアは思想の次元が他の建築物とは根本的に違うということを強烈に体感した。ただ歴史的な必然性または偶然性がもたらす重層性が欠如している印象だけはどうしても拭いきれなかった。また自然や生命をどれだけ模倣しても神が創造した自然や生命には遠く及ばないという逆説的な思想も勝手に感じた。
カサ・ビセンス
ガウディが26歳頃に設計を手がけたタイル業者マヌエル・ビセンスの邸宅。ガウディが手がけた最初の大規模住宅。

グエル公園
パトロンのグエル氏の依頼でガウディ48歳頃から10年以上にわたって設計を手がけた、自然との共生をテーマにした分譲住宅街。結局買い手が現れず分譲住宅としては失敗に終わり、後に公園として開放された。
新市街北側の丘の上にあるため、坂道を登っていく。

複数ある入口のうち西の入口から入場し、まずはゴルゴダの丘へ。

丘の上というだけあり、いきなり絶景。

ドーリア式の柱が林立する列柱ホール。

ブガデラ(洗濯女)の回廊。

なんだかワクワクする。

この回廊の名前の由来となる洗濯女のカリアティード(女人像柱)。

ギリシャ劇場または自然広場。

遠くにサグラダ・ファミリアが見える。

中央階段。ユニークな造形の噴水がいくつか設置されている。

メインエントランスの両脇をメルヘンチックに演出するお菓子の家2軒。

公園内の建築の自然で無邪気で自由な感じが、夢の国にいるみたいだった。