ウフィツィ美術館でルネサンスを堪能した
2022.07.15
そもそも
フィレンツェ滞在記2022のスピンオフ。
ウフィツィ美術館は、世界有数のルネサンス絵画のコレクションを誇る美術館で、誰もが一度は見たことがあるような名作が数多く展示されている。建物は元々コジモ1世の治世下にジョルジョ・ヴァザーリの設計で建設されたフィレンツェの行政機関のオフィス(ウフィツィの由来)だった。ウフィツィ美術館はすぐ隣にあるヴェッキオ宮殿とアルノ川を渡った先にあるピッティ宮殿にヴァザーリの回廊によってつながっている。
第一廊下
まずは3階にある第一廊下。グロテスク様式の天井画と古代ローマ時代の彫刻が続く。
ジョット・ディ・ボンドーネ『オンニサンティの聖母』
ビザンティン様式を脱却した最初のルネサンス絵画として知られる。従来の絵画に比べて人物の顔立ちや衣のひだや玉座が立体的(自然主義的)に表現されている。幼子にしてはキリストの顔濃すぎやろ。
フィリッポ・リッピ『聖母子と二天使』
奥に窓と外の風景を描くのが特徴的で、レオナルド・ダ・ヴィンチに影響を与えたと言われる。やっぱりキリストの顔怖いやろ。
ピエロ・デッラ・フランチェスカ『ウルビーノ公爵夫妻の肖像』
半身で横顔の肖像はローマ時代のコインの肖像インスパイア。当時は色白でおでこが出ているのが美人だったらしいが、妻だけ美化されすぎてて怖い。
サンドロ・ボッティチェッリ『プリマヴェーラ』
ギリシャ神話の神々が描かれている複雑な絵画。ボッティチェッリはフィリッポ・リッピの工房で修行を積み、メディチ家の庇護を受けたルネサンスを代表する画家。
サンドロ・ボッティチェッリ『ヴィーナスの誕生』
女神ヴィーナスが海から誕生したというギリシャ神話を描いている。
トリブーナ
コジモ1世の息子フランチェスコ1世がベルナルド・ブオンタレンティに設計させた自分専用の絵画鑑賞部屋。天井のドームを飾るのは何千枚もの貝殻。立ち入りはできなかった。
窓からの風景
3階の中間地点にある北側の窓から眺めるウフィツィ美術館。ヴェッキオ宮殿とサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂のクーポラも見える。
南側の窓からはアルノ川とヴェッキオ橋が見える。ヴァザーリの回廊がつながっている様子がよくわかる。
アンドレア・デル・ヴェロッキオ『キリストの洗礼』
ヴェロッキオ工房の弟子との合作とされ、一番左の天使や背景などはレオナルド・ダ・ヴィンチが、左から2番目の天使はボッティチェッリが描いたとされる。後に描かれたボッティチェッリの『ヴィーナスの誕生』は構図が似ている。
レオナルド・ダ・ヴィンチ『受胎告知』
ダ・ヴィンチがヴェロッキオ工房にいた時代に描いたという初期の作品。
レオナルド・ダ・ヴィンチ『東方三博士の礼拝』
フィレンツェの教会から依頼を受けて制作を始めたが、翌年ミラノへ出発したため未完成のまま残された作品。
ラファエロ・サンティ『ドーニ夫妻の肖像』
裕福な織物商人のドーニ夫妻を描いた肖像画。モナ・リザの影響を受けているっぽい。
肖像画の裏側。匿名画家(Maestro di Serumido)によって描かれたという。肖像画の裏に(しかも別の画家が)絵を描く慣習か何かあったのかな(公式解説)。
ミケランジェロ『聖家族(トンド・ドーニ)』
聖母がヨセフから肩越しに幼子のキリストを受け取るという珍しい構図で描かれている。前述のドーニ夫妻に依頼された。ミケランジェロが描いた板絵としては唯一完成したものだという。
ルーカス・クラナッハ『ルター夫妻の肖像』
マルティン・ルターの肖像は何度も見たことがあったが、それはこの絵画だった。しかも妻が隣に描かれていたのは知らなかった。
イノシシ像
ローマ時代に制作されたイノシシ像。この像をもとに17世紀に制作されたイノシシ銅像がフィレンツェ市内にあるポルチェッリーノの噴水にあり、人気観光地になっている。
ここまでが3階の展示品。ここからは2階の展示品。
ティツィアーノ『ウルビーノのヴィーナス』
ウルビーノ公爵グイドバルド2世・デッラ・ローヴェレの依頼によって描かれた色情的で官能的な作品。ティツィアーノはヴェネツィア派の巨匠。同じくヴェネツィア派の巨匠ジョルジョーネの『眠れるヴィーナス』の影響を受けている。
アンニーバレ・カラッチ『サテュロスとキューピッドといるヴィーナス』
絶妙な色使いで描かれた官能的な作品。アンニーバレ・カラッチはボローニャ派の代表的な画家。
カラヴァッジョ『バッカス』
ローマ神話のワインの神バッカスを描いた写実的かつ官能的な作品。カラヴァッジョはバロック絵画の形成に大きく影響を与えた巨匠だが、投獄されたり殺人を犯して懸賞金を懸けられたりするなど破天荒な人生を送った。