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ポンペイ遺跡を散策してみた

2022.07.25

そもそも

ナポリ滞在記2022のスピンオフ。

ポンペイは、79年にヴェスヴィオ火山が噴火した際に火砕流と火山灰に呑み込まれて一瞬にして滅亡したナポリ近郊の都市。幸か不幸か火山灰の効果(空気遮断・吸湿)によって、当時の街並みがそっくりそのまま保存された最強の遺跡都市。紀元前6世紀以降、エトルリア人、ギリシャ人、サムニウム人などに支配されてきた。紀元前89年にルキウス・コルネリウス・スッラ率いるローマによって征服され、周辺のカンパニア諸都市とともにローマの植民市となった。

18世紀以降に発掘作業が進められ、当時の生活を物語る家屋や生活用品などが良好な保存状態で出土している。ポンペイの出土品の多くはナポリ国立考古学博物館に展示されている。詳しくはナポリ国立考古学博物館が衝撃だったにて。「ポンペイ、エルコラーノ及びトッレ・アヌンツィアータの遺跡地域」として世界遺産に登録されている。『プリニウス』や『ジョジョの奇妙な冒険 第5部』など、漫画やアニメにも度々舞台として登場する。

入口

西側にあるマリーナ門から入場。 Blog Image

郊外浴場

元々あった城壁の外に位置する二階建ての浴場。性的な壁画が残る世界で唯一の浴場として知られる。

性的な壁画が描かれているアポディテリウム(脱衣所)。壁画については、二階で売春が行われていた説やただのユーモアだった説がある。 Blog Image

神殿を備えたフリギダリウム(冷水浴室)。 Blog Image

海洋生物が描かれた壁画も。 Blog Image

フォロ

政治・商業・宗教の中心として機能していた公共広場。公的機関の多くがフォロ周辺に集中している。

北側の背景にはヴェスヴィオ火山を臨む。 Blog Image

堂々たる騎馬像は20世紀に制作されたものらしい。紛らわしいのでやめてほしい。 Blog Image

バシリカ

商取引や司法行政に使われていた、フォロ周辺で最も壮麗な建物。フォロの西側に位置する。 Blog Image

アポロ神殿

アポロに捧げられた、ポンペイ最古の神殿の一つ。神殿に向かって右側にアポロの、その対面にディアナのブロンズ像(レプリカ)が配置されている。フォロの西側に位置する。 Blog Image

ヴェスパシアノ神殿

フォロの東側に位置する神殿。 Blog Image

ジュピター神殿

フォロの北側に位置する、ユピテルに捧げられた神殿。 Blog Image

市場

魚や肉などが売られていた市場。フォロの東側に位置する。 Blog Image

市場の奥にある神殿エリア。 Blog Image

アンフォラ(食品や飲料を運搬する縦長の陶器)など出土品が保管されていた倉庫。 Blog Image

休憩所

遺跡の中にあった休憩所。めちゃくちゃ混雑していた。 Blog Image

フォロ通り

フォロから北に伸びる大通り。 Blog Image

大噴水の家

モザイクで覆われた噴水を備えた家。 Blog Image

メルクリオ通り沿いの飲食店

テーブルを囲んで戯れる人々のフレスコ画が描かれている。 Blog Image

悲劇詩人の家

洗練されたモザイク画やフレスコ画が多数出土した悲劇詩人の家。家にあったフレスコ画の一つに悲劇詩人が登場することが名前の由来。『ジョジョの奇妙な冒険 第5部』でちゃんと登場する。

正面玄関にある"CAVE CANEM"(犬に注意)と書かれたモザイク画が有名。 Blog Image

ファウヌスの家

紀元前2世紀に建てられた上流階級者の邸宅。ポンペイがローマに征服される以前の暮らしぶりを垣間見ることができる。 Blog Image

アレクサンドロス3世とペルシャ王ダレイオス3世の戦闘場面(イッソスの戦い)が描かれた有名なモザイク画が発見された場所。現在はナポリ国立考古学博物館にある。 Blog Image

スタビアーネ浴場

紀元前2世紀に建設されたポンペイ最古で最大の公衆浴場。

広い中庭に立派な柱廊。 Blog Image

美しい内部装飾が残るアポディテリウム(脱衣所)。 Blog Image

色彩豊かに装飾されていたことがわかるフリギダリウム(冷水浴室)。 Blog Image

床下が剥き出しになっているカルダリウム(高温浴室)。ハイポコースト(床下暖房)用に床下に空間を作るための柱の跡が見える。 Blog Image

ルパナーレ

ポンペイに20以上あったとされる娼館の一つ。壁には性的なフレスコ画が多数描かれている。 Blog Image Blog Image Blog Image

石のベッドが置かれた小さな部屋がいくつも並んでいた。 Blog Image

通り

街を東西に貫くアボンダンツァ通り。基本的に通りは格子状に走っており、当時から車道と歩道がちゃんと整備されていた。 Blog Image

ヴェスヴィオ火山を臨む通り。飛び石は馬車や荷車の車輪が通過できることや、雨天時に歩行者が足を濡らさずに横断できることが考慮されている。 Blog Image

細い路地もあちこちにある。 Blog Image

イシス神殿

エジプトに起源をもつ女神イシスに捧げられた神殿。紀元前2世紀頃に創建され、62年の大地震後に再建された。良好な保存状態で残る数少ない神殿の一つ。アレクサンドロス3世がエジプトを征服した頃から、エジプトの文化や歴史がギリシャ世界またはローマ世界に伝播し始めたとされ、イシス崇拝もその一環と思われる。 Blog Image

大劇場

紀元前2世紀に丘の自然な傾斜を利用して建てられた劇場。ローマ植民市時代に度々改築が重ねられた。 Blog Image

小劇場

ローマに征服されてまもなく建設された劇場。 Blog Image

劇場裏の広場

劇場の観覧客が劇場の合間に立ち寄る憩いの場だったという列柱に囲まれた四角形の広場。62年の大地震以降は剣闘士の兵舎として使われるようになった。 Blog Image

メナンドロスの家

紀元前2世紀に建てられた上流階級者の邸宅。ローマ植民市時代に度々改築が重ねられた。壁に古代ギリシャの喜劇作家メナンドロスのフレスコ画が描かれている。 Blog Image

ステファヌスの洗濯屋

現代でいうクリーニング屋。 Blog Image

Casa del Larario di Achille

立派なフレスコ画が残る邸宅。 Blog Image

テルモポリウム

現代でいうレストランまたはファストフード店。庶民が頻繁に利用していたと思われる。 Blog Image

高台

南端にある高台にて。 Blog Image

ヴェスヴィオ火山を背景にしたポンペイ遺跡の全景を眺めながら一休み。 Blog Image

Orto dei Fuggiaschi

79年にヴェスヴィオ火山が噴火した際に火砕流と火山灰に呑み込まれて死亡した人々の石膏。堆積する火山灰の中に形成された人型の空洞に石膏を流し込んで型をとったもの。 Blog Image Blog Image

円形闘技場

紀元前70年頃に建てられた、現存する最古のローマ時代の石造円形闘技場の一つ。 Blog Image Blog Image

Palestra Grande

柱廊に囲まれた広大なパレストラ(運動施設)。柱廊の一部が博物館になっていた。 Blog Image

79年にヴェスヴィオ火山が噴火した際に際に、炭化してそのまま残ったパンやデーツ。古代ローマ人は割と美味しそうなパンを食べていたらしい。 Blog Image

女性的な胸と男性器を併せ持つ両性具有の像が脚に彫られたテーブル。 Blog Image

ギリシャ神話で豊穣や生殖を司る神プリアーポスの彫像。 Blog Image

ポンペイの邸宅にあったララリウム(家庭の守護神ラレースなどを祀る祭壇)。蛇は土地の肥沃さや繁栄を意味する。 Blog Image

性愛や男女にまつわるフレスコ画の数々。 Blog Image Blog Image

ローマ神話のワインの神バックス(バッカス)のブロンズ像。 Blog Image

庭園を描いたフレスコ画。生首が描かれてるのはなぜだ。 Blog Image

Antiquarium

象が引くクアドリガの上に乗る女神ウェヌス。 Blog Image

大王アレクサンドロス3世と妃スタテイラ2世。 Blog Image

ヴェスヴィオ火山噴火の犠牲馬。 Blog Image

秘儀荘

中心部から離れた北西の外れに位置する、ディオニュソス信仰の儀式が行われていたとされる大邸宅。ディオニュソス信仰は、ギリシャから伝来したとされる秘教で、陶酔や集団的狂乱を是とすることなどから、秩序を重んじるローマ帝国では弾圧されていた。 Blog Image

立派なフレスコ画が描かれた一室。 Blog Image

ディオニュソス信仰に入信するための秘密の儀式を描いたとされるフレスコ画(諸説あり)。驚くほど保存状態が良く色彩鮮やかで、画を見ていると時代感覚がバグる。この鮮やかな赤色はポンペイレッドと呼ばれる。 Blog Image

感想

インフラ(車道・歩道・上下水道)も衣食住(パン屋・クリーニング屋・公衆浴場・市場)もエンタメ(劇場・闘技場・娼館・芸術)も揃っていて、海と山に囲まれていて景観も美しくて、晴天が多く天気も良好で、都市としての完成度が高すぎた。。。

果たして当時のポンペイよりも生活水準が高い現代都市はどれほどあるのだろうか。現代文明は現代人が思っているほど進歩しておらず、むしろ退歩している気すらしてきた。

参考書籍

テルマエ・ロマエ

プリニウス

ジョジョの奇妙な冒険 第5部

魅惑の絶景と美食旅 ナポリとアマルフィ海岸周辺へ

教養としての「ローマ史」の読み方

はじめて読む人のローマ史1200年

西洋美術史入門

世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」

ルネサンスとは何であったのか―塩野七生ルネサンス著作集1―

ルネサンス 歴史と芸術の物語

イラストで読む ルネサンスの巨匠たち

ヤマザキマリの偏愛ルネサンス美術論

「イタリア」誕生の物語

はじめてのイタリア語

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